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 やや古い記事ではあるが、同じみの「出版状況クロニクル」から気になる記事をピックアップしておこう。無論この手の情報はどの出版社でも経営陣クラスは目を通しているが、編集の現場や若手の広告部員までは情報として浸透しておらず、なんとなく肌感では「ヤバさ」はあるものの、数字としての具体性は認識していないだろう。

2015年上半期のヤバさは尋常ではないのだ

15年5月の書籍雑誌の推定販売金額は前年比10.7%マイナスという大幅減。書籍雑誌合わせて二ケタ減はかつてない落ちこみである。

その内訳は書籍が7.3%減、雑誌が13.6%減。雑誌のうちの月刊誌は13.2%減、週刊誌は15.0%減。

返品率は書籍が42.4%、雑誌は47.2%で、月刊誌は48.5%、週刊誌は41.1%と、ついに書籍雑誌の双方が40%を超えてしまった。マイナス幅も返品率も、最悪のところまできている。

そのような出版状況を背景にして、1栗田出版販売の民事再生申請が起こされたことになる。

かくして出版危機が臨界点に達した状況の中で、15年前半の終わりを迎えたわけだが、続けて後半にはどのような事件と出来事が待ちかまえているのであろうか。



■書籍・雑誌発行売上推移
新刊点数

(万冊)
書籍

実売総金額

(万円)
書籍

返品率

(%)
雑誌

実売総金額

(万円)
雑誌

返品率

(%)
書籍+雑誌

実売総金額

(万円)
前年度比

(%)
199660,462109,960,10535.5%159,840,69727.0%269,800,8023.6%
199762,336110,624,58338.6%157,255,77029.0%267,880,353▲0.7%
199863,023106,102,70640.0%155,620,36329.0%261,723,069▲2.3%
199962,621104,207,76039.9%151,274,57629.9%255,482,336▲2.4%
200065,065101,521,12639.2%149,723,66529.1%251,244,791▲1.7%
200171,073100,317,44639.2%144,126,86730.3%244,444,313▲2.7%
200274,259101,230,38837.9%142,461,84830.0%243,692,236▲0.3%
200375,53096,648,56638.9%135,151,17932.7%231,799,715▲4.9%
200477,031102,365,86637.3%132,453,33732.6%234,819,2031.3%
200580,58098,792,56139.5%130,416,50333.9%229,209,064▲2.4%
200680,618100,945,01138.5%125,333,52634.5%226,278,537▲1.3%
200780,59597,466,43540.3%122,368,24535.3%219,834,680▲2.8%
200879,91795,415,60540.9%117,313,58436.3%212,729,189▲3.2%
200980,77691,379,20941.1%112,715,60336.1%204,094,812▲4.1%
201078,35488,308,17039.6%109,193,14035.4%197,501,310▲3.2%
201178,90288,011,19038.1%102,174,95036.0%190,186,140▲3.7%
201282,20486,143,81138.2%97,179,89337.5%183,323,704▲3.6%
201382,58984,301,45937.7%92,808,74738.7%177,110,206▲3.4%
201480,95480,886,55538.1%88,029,75139.9%168,916,306▲4.6%

本クロニクル81 に示しておいたように、出版科学研究所による取次ルート出回りの2014年売上高は書籍7544億円、雑誌8520億円、合計1兆6064億円、前年比4.5%減である。

こちらの金額と差異はあるけれど、前年比マイナスは4.6%とほぼ同じで、やはり近年最大の落ちこみになっている。とりわけ雑誌だが、危機は加速し、14年には9000億円を割りこむだろうと予測しておいたが、実際にそうなり、1996年に比べて半減してしまったことになる。

返品率もまったく下げ止まらず、このまま進めば、今年は書籍、雑誌ともに40%を超えてしまうかもしれない。その果てに何が起きてくるのか、予断が許されない出版状況に入ってきたように思われる。